背抜き

裏仕立ての一種で、ジャケットの背の部分にある裏地が、下から3分の2ほどカットされているものを指します。

裏地がカットされた分、面積が少なくなるため、通気性に優れています。暖かい季節や暑い季節には、背抜き仕様がぴったりで、とても身軽なイメージを与えます。

特に日本では、背抜き仕様のスーツが人気で、海外ブランドのスーツも日本人に合わせて背抜き仕様にしているスーツが多く見られるほどです。


総裏とは

総裏

※出典
ロブザーコ

総裏(そううら)とは、スーツの胴裏地と背裏地が、裾まですべて付く裏仕立てのことです。


背抜き仕様よりも裏地の面積が広いため、保湿性や保温性に優れています。

その見た目からも暖かみを感じることができ、秋や冬など寒い季節には最適の仕立てだといえます。


全体的に厚手なものになりますから、中に着ているシャツも透ける心配がなく、汚れや型崩れが起きにくいという良さもあります。

また、しっかりとした印象を与えることができることも特徴です。


総裏仕様のジャケット内側は、滑りの良い標準ポリエステル裏地、キュプラ裏地、メッシュ裏地などにすることで、洋服内の回転が良くなり、保温効果が増します。


背抜きのメリット

背抜き

※出典
ロブザーコ

背抜きは、総裏仕様よりも重量が軽く、通気性に優れているという点が最も大きな特徴です。

通気性が良いと汗をかきにくいといったメリットがあり、裏地が少なく軽いので、見た目からも涼しげに感じられます。


また、全体的に薄くなるため、身体のラインをスリムに見せることができます。

タイトなシルエットを演出したいのであれば、背抜き仕様を選ぶのが良いでしょう。

総裏仕様よりも身体にフィットしやすいので、動きやすさや快適さという面でも優れています。


この薄さを利用して、背裏をわざと見せるという少し変わったアプローチも可能です。

ジャケット生地が表と裏で違う模様であれば、透けて見えた時に変化があり、隠れたオシャレとしても有効です。

ただし、ビジネスシーンでは好ましくないとされるケースもありますから、その点に関しては注意が必要です。


背抜きのデメリット

背抜きは、通気性に優れている分、保湿性に欠けているので、涼しい季節や寒い季節にはあまり向いていないといえます。

涼しさが特徴の裏仕立てである以上、これは避けられないデメリットです。


裏地がない部分はシャツが透けて見えてしまうというデメリットもあります。

背抜き仕様は、スケルトンバックとも言われるほど、中のシャツが透けてしまいます。


ジャケット全体の厚さも薄いため、軽い代わりにシワになりやすいといった点も懸念しなければなりません。

裏地が少ないと、スーツの形状を保つ厚い生地が少なくなるので、型崩れやシワには十分配慮が必要です。


また、その見た目から軽い印象、ラフな印象を与えやすいというデメリットもあります。


背抜き仕様では、カジュアル感が出てしまうので、フォーマルな場面では総裏仕様の方が好ましいです。

場面によって、背抜き仕様と総裏仕様を切り替えると良いかもしれません。


さらに、摩擦の大きい生地(コーデュロイ、ツイード、ベルベット、フラノなど)などを使用しているジャケットの場合、動いた時にジャケットの内側で布地同士がぶつかってしまい、洋服内の回転が悪くなります。


そのため、摩擦が大きい起毛素材を用いたジャケットを着用したい時は、総裏仕様の方がおすすめだといえます。


背抜きと季節の関係

背抜き仕様は涼しくて軽く、総裏仕様は暖かくて重いという特徴があります。

そのため、春夏の暖かい季節は背抜き仕様、秋冬の涼しい季節は総裏仕様という選択が妥当です。


しかし、海外の多くの国では、夏の暑い季節でも背抜きではなく、総裏仕様で過ごすのが一般的です。

裏地がしっかりと汗を吸収してくれる点、スーツの耐久性能という点においては、総裏仕様の方が優れていると評価されているためです。


そう考えると、総裏仕様は背抜きよりもデメリットが少なく、総合的に勝っている…そう思われたかもしれません。


しかし、国の風土によって衣服は特色を持つものです。

日本のようなジメッとした湿気の多い気候では、通気性の良い背抜き仕様が好まれるのです。


秋冬では総裏仕様が妥当であると述べましたが、ベストをジャケットの下に着ることで、秋冬も背抜き仕様で過ごすことができるようになります。


シャツ・ベスト・ジャケットの3セットを着用し、ベストで寒暖を調節します。


このような着こなしであれば、オールシーズンでも快適に着こなすことができ、オシャレで明るい印象も同時に与えることが可能です。


背抜きでオシャレに

背抜き仕様のジャケットは、オシャレで涼しく快適に過ごすことのできる便利な裏仕立てです。


重厚で耐久性の高い総裏仕様にはない良さがあり、日本のような湿気の多い気候には、とても相性が良い作りだといえます。


ただし、総裏仕様のように裏地面積が少ない分、背抜き仕様は生地が傷みやすく、型くずれやシワができやすいため、着用時や着用後の管理を怠らないよう注意してください。


綺麗なシルエット、タイトでオシャレな印象を損ねないためにも、大切に扱うことが、長期的な着用を約束してくれます。


面倒なようですが、愛するペットと同じようにしっかりとケアすることで、愛着はどんどん増していくはずです。是非、こだわりの一着をじっくりと楽しんでください。


暑くてスーツを着るのが億劫になっている人は、これを機会に快適でオシャレな背抜き仕様のスーツを探してみてはいかがでしょうか。

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