1.スーツは生地ブランドも重要


スーツ生地は、既製品・自分にあったオーダーメイドにしても最も重視すべきポイントです。

生地のブランドは、スーツについているタグを確認すると簡単に知ることができます。

タグには、生地のブランドや生地の品質(糸番手)が表記されています。

「SUPER○○」と記載されている部分が生地の品質表示で定番はウールです。

先ほど記した「SUPER○○」もウールの品質表示になります。

例をあげると「SUPER 120'S Wool」と記されている場合、1㎏あたり120㎞のウールの長さがあるという意味になります。

糸番手は数字が大きいほどウールの糸は細くなり、細いほど柔らかくしなやかになるため高級品であると評価をされます。

ご自身のスーツにも「SUPER○○」の表記があるか確認してみてください。

SUPER150'S
※出典
バルコン入間店

数字が大きければ大きいほど高級なスーツの証明になります。

150'S以上が表記してあるスーツは、最高級品といっていいほどの逸品です。

2.スーツ生地の選び方


生地がスーツにおいてとても重要だということはわかりましたが、実際にどのようにしてセレクトすれば良いのでしょうか。もう少し詳しく見ていきましょう。

2-1 「SUPER表示」で繊維の細さを確認


「SUPER表示」とは繊維の細さを表記したものです。

前述したウール生地と少し話は重なりますが、スーツを購入する際の指標として、どのランクの生地で仕立てたスーツが欲しいのか、購入前に是非チェックしておきたいところです。

2-2 .良質な生地である3つの要素


価格も確かに重要になりますが、良い生地を見分けるためには実際にスーツを手に取り、生地に触れて確認することが大切です。

最初に目で見て確認できることは「光沢」です。

同色のスーツを見比べて光沢を比べてみると一見して良質な生地か判断できます。

光沢があるということは、生地にシルクが織り込まれている証拠です。

スーツを着た時に自然と高級感を演出してくれます。

次に生地に触れて「柔らかさ」を確認します。

生地をつまみ、柔らかく感触がソフトであれば良質な生地といえます。

また、繊維の紡績工程の多い梳毛糸(そもうし)を使用していると生地になめらかさがでます。

最後に確認すべきなのは「シワ」の復元力です。

スーツをつまんでみて、シワがすぐに戻るか確認します。

良質な生地はすぐにシワが戻るため判断がつきやすいのです。

2-3 .化学繊維を合成した生地の特徴


天然繊維ではなく、化学繊維を合成して織り込んだ生地のメリット・デメリットを紹介します。

【 ナイロン 】
メリット:油に強い・耐久性が高い
デメリット:日焼け劣化がはやい・吸湿性が低い・静電気が溜まりやすい

【 ポリウレタン 】
メリット:伸縮性及び弾力性が高い・生地にコーティングした防水コートの商品も
デメリット:加水分解するため劣化がはやい

【 ポリエステル 】
メリット:シワになりにくい・速乾性が高い・低価格
デメリット:吸湿性が低い・静電気が溜まりやすい・全体的にチープに見える

3.高級スーツおススメ生地ブランド


それでは生地メーカーの中でも特におすすめの高級スーツ生地ブランドTOP5をご紹介します。

3-1 Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)



ゼニアは1910年に北イタリアでテキスタイルメーカーとして創業しました。

「最高の素材は優れたデザインを、最高のデザインは優れた素材を求める」という力強いデザインポリシーを掲げているブランドです。

ジャケットからスポーツウェアまで幅広いアイテムを取り揃えており、それぞれの製品は世界的に高い評価を得ています。

ゼニア社の生地配給先は、アルマーニ・ラルフローレン・シャネルなど世界的に有名なトップブランドです。

こういったところからもゼニアが最高のイタリアメーカーであることがわかります。

3-2 DORMEUIL(ドーメル)



1842年にジュールズ・ドーメルがイギリスから毛織物を輸入し、フランス国内で販売することからはじまった現存する世界最古の服地商社です。

トレンドに対応しながら生地を調達、ブランド化して世界に発信し続けています。

「最高の品質を最高のおもてなしで」という言葉がドーメルの生地の紋章に刻まれています。

有名トップブランドに服地を提供するだけでなく、パリ・コレクションに参加する様々なブランドにドーメルの生地は使われています。

3-3 Loro Piana(ロロピアーナ)



1924年創業の高級ウール・カシミアのトップメーカーです。

「糸の原料である繊維の生産」「繊維から糸を形成」「シャツやスーツの製品化」といった工程のすべてを自社一貫性で行うSPAというスタイルで経営しています。

ロロピアーナのスーツは風合いの柔らかさから、どちらかというと女性的な生地といわれています。

ロロピアーナ独特のノーブル(高潔な、気高い)な雰囲気がとても印象的です。

3-4 SCABAL(スキャバル)




SCABALは、1938年ベルギー・ブリュッセルで設立されました。

現在ではトータルファッションブランドとして、ヨーロッパだけでなく世界中の都市で不動の地位を確立させています。

近年はアメリカ大統領御用達ブランドとして愛用され、マイケル・ジョーダンやハリウッド俳優など多くのファンが存在しています。

また、数多くの映画に衣装協力をしているのも有名な話です。

世界で初めてバンチ(=布を束ねた房)、つまり服地の見本帳を作りました。

3-5 REDA(レダ)




レダは、イタリアを代表する名門服地メーカーのひとつで、1865年にイタリア北部でウール工場を設立したのがはじまりです。

およそ150年の歴史を持っており、羊毛の段階から生地が完成するまでのすべての工程を直接管理している徹底ぶりです。

完璧な意図を求め続ける探求心こそが、レダの製品を常に最高の品質に保ち続けている所以です。

クラシカルからファンシーなデザインまで、約2500種類ものデザインを毎シーズン世に送り出し続けています。

4.意外と知られていない国産生地ブランドを紹介


国内にもスーツ生地ブランドが存在することをご存知でしょうか。この項では、国産の生地ブランドの特徴を見ていきましょう。

5-1.御幸毛織(みゆけけおり)



※出典
愛知ブランド

日本を代表する老舗服地ブランドである御幸毛織は、1905年に名古屋市で織物と染物の工場開設をもって創業されました。

創業以来、自社完全一貫生産を守り続け、1980年にオーストラリアのニューサウスウェルズ州に牧場をひらきました。

「糸一本まで他人に任せない」をポリシーとし、世界的にも高い評価を得ています。

世界で最も細い羊毛を開発し、さらに高品質な超高級服地を完成させました。

5-2.日本毛織(ニッケ)



※出典
テーラー渡辺

独特のツヤ感とヌメリ感・上品な光沢と美しい発色性を持つ服地は、ニッケが世界に誇る最高級の日本製ウール生地です。

5-3.ダイドーリミテッド



※出典
TANGOYA

1879年創業、1989年に現在の「株式会社ダイドーリミテッド」に社名変更しました。

その後オーストラリアに直営牧場、中国に自社工場を設立してグローバル企業として世界進出をし続けています。

自社にて一貫して製造するこだわりの生地は、ウールの魅力が存分に引き出された最高級の素材です。

5-4.三陽商会(サンヨー)



※出典
NARUのブログ

東京都新宿区に本社を置くアパレルメーカーです。

海外の様々なブランドとライセンス契約を結んで販売しています。

1943年に電気関係各種工業用品と繊維製品の製造販売を目的として板橋区で設立されました。

1965年からバーバリー社とのライセンス契約をしていましたが2015年で終了、その前年(2014年)にライセンス契約を結んでいたマッキントッシュ社と「マッキントッシュロンドン」を展開させています。

6.お気に入りの生地ブランドでオーダースーツを


服地ブランドの魂はスーツに受け継がれ、私たちが初めて袖を通した時に最高の着心地となって完成します。

この記事を読んで興味がわいた方は、お気に入りの高級素材生地や色柄にもこだわってオーダースーツ、またはオーダーシャツを作ってみることをおすすめします。

ダンヒルなど双糸を使用したイギリスの高級ブランドスーツを着るのも良いですが、生地メーカーからテーラー(紳士服の仕立て屋)に注文すると本当に欲しいものを手にしたという優越感に満たされます。

ビジネスシーンには笑顔がとても大切です。

自分だけの上質なスーツに身を包めば、きっと最高の気分で仕事に向かうことができるでしょう。

是非、最高級のブランド生地でスーツを仕立ててみてください。