プレーンノットは、スーツを着用する際に多く使用され、印象が大事な就職活動やビジネスマンのスタイルの基本ともなっています。

結び方のポイントはスカーフのようにふんわりと締めることです。

そして、首の付け根の位置に綺麗な三角形が出来上がると見栄えが良くなります。

プレーンノットの結び方と歴史


プレーンノットはスーツが初めて開発されたイギリスで19世紀後半に登場しました。

古くは古代ローマの兵士が寒冷地へ赴いた際、防寒のために首に巻いた羊毛の布がネクタイの起源ともいわれています。

この布は「フォーカル」と呼ばれ、戦地へ向かう兵士たちの恋人や妻が無事を祈って贈ったお守りのような意味も含んでいます。

17世紀後半のフランスでは、襟元の装飾品として「クラバット」と呼ばれるネクタイの原型が作られ、当時のフランス国王ルイ14世によって大流行しました。

クラバット
※出典
セカイモン

その後ファッションの主流がフランスから、ロンドンへ移り「クラバット」の結び目から派生した蝶ネクタイが誕生し、現在のような帯状のネクタイとなりました。

ネクタイの素材


ネクタイには服と同じく種類があります。どの素材を選ぶかにより印象が変わることもあります。

プレーンノットの結び方はネクタイにかかる負荷を軽減する結び方である為、そこに使う素材で強いものを選べば長期間ネクタイを使用することができます。

ビジネスの現場で毎日スーツを着なければならない場合は非常に便利です。

最も強度のある素材は「麻」です。

リネンのネクタイ
※出典
THE SUIT COMPANY

ネクタイに使用されるのはリネン(亜麻)とラミー(芋麻)と呼ばれる種類です。

特にラミーは硬く、強度に優れています。

しかし、固く、弾力性に乏しいという欠点を持っています。また、リネンは上品で繊細な風合いを持っています。

この2つの素材は同時にしわになり易いという欠点がありますが涼感がある為、夏に使用される場合があります。

ネクタイに最適な素材としては、「絹」があります。

絹のネクタイ
※出典
日本絹の里

上品な光沢と独特の風合いを持ち、軽さと弾力性と発色性に優れています。

さらに、しわになりにくい為、ネクタイの素材に最も適しています。

また、化学繊維も素材として利用されます。

中でも「アセテート」は軽く、光沢があり、しわになりにくい性質があります。

アセテートのネクタイ
※出典
JACK CLOTHING SUPPLY

特にネクタイではファッションとして用いられるニット・タイに使われます。

ネクタイの大きさ


プレーンノットは飾りや立襟のないレギュラーカラーの襟元を持つシャツに対して最も適しています。

また、ボタンで身頃に留めるようにした襟のあるボタンダウンカラーや、襟先にピンを通す穴をあけ、ネクタイの結び目の下で留めるピンホールカラーなどの襟元を持つシャツにもプレーンノットが適しています。

そして、プレーンノットはディンプルと呼ばれるネクタイのえくぼを作りやすい結び方でもあります。

ネクタイのプレーンノットを利用したファッションを取り入れるにはそれぞれの襟付きの服に対応した種類のネクタイを選択する必要があります。

ネクタイの種類には大きく分けて3種類あります。

1つ目はレギュラータイです。ネクタイを締めた時に前に来る幅の広い方である大剣の幅が7cm~9cmのものです。

これは最も基本的な大きさとなるため、襟付きのシャツに幅広く使用できます。

2つ目はナロータイです。大剣の幅が4cm~6cmのもので特にカジュアルなシーンや、パーティーで使用します。

ビジネス現場では不向きなため注意が必要です。

3つ目はワイドタイです。

大剣の幅が10cm以上のもので、やや格式が高いような印象を与えます。しかし、現在ではあまり使用する頻度は高くありません。

プレーンノットの派生


すべての結び方の基本となるプレーンノットですが、他者とのスタイルをあえて外し独自の結び方として派したものがあります。

一つはダブルノットという結び方です。
ダブルノット
※出典
NAVERまとめ

プレーンノットより結び目にボリュームを持たせたいときに使う結び方です。

ポイントはプレーンノットでは1回の巻きを2重巻きをすることです。大きくなりすぎることもなく、品よく仕上ります。

そしてスモールノットという結び方があります。

スモールノット
※出典
Instagram

小さめの結び目が特徴です。

プレーンノットとは逆の結び方をするためが結び目が小さくなります。

プレーンノットで結び目にボリュームが出すぎる場合や、大きな結び目が苦手な人向けです。

プレーンノットは結び目のボリュームが不足してしまう場合があります。

これを解決するために、イギリスの国王であるウインザー公の名前が付けられたウインザーノットという結び方があります。

ウインザーノット
※出典
Uomo BLOG

結び後は幅広でボリュームの大きな出来栄えとなります。

これに対応して開発された結び方でセミウインザーノットというものがあります。

ウインザーノット小ぶりな、程よい大きさの三角形の結び目となります。

別名ハーフウインザーノットと呼ばれます。

ウインザーノットの作業で2回おこなった工程を、その半分の1回にしています。

それにより自然とボリュームが少なくなります。

出来栄えは左右がきれいに均等になります。

プレーンノットの派生2


結び目を強調したい場合はクロスノットという結び方があります。

クロスノット
※出典
NAVERまとめ

プレーンノットのシンプルさに多少変化をつけたい場合に適しています。

プレーンノットと同じ形の結び目に斜めに1本の筋が入ります。

ポイントはシンプルな無地のネクタイで結ぶことです。

強調した結び目が際立ち地味にならず良いアクセントになります。

その際、服全体の色柄や色数を限定しない場合は結び目の強調が薄れてしまうため注意が必要です。

また、結婚式等の黒ネクタイの指定がない場合に限り、ネクタイ自体の存在感をアピールする結び方として、ブラインドフォールドノットという結び方があります。

ブラインドフォールノット
※出典
結婚Info

結び目が無いため普段着慣れたダークスーツのスタイルアップとして応用できます。

この結び方の工程を一つ戻せば、プレーンノットと同じ形にできるため、結婚式後に会社に行かなければならない場合にも適しています。

また、冠婚葬祭ではないパーティー等で注目を集めたい結び方をしたい場合はノンノットというものがあります。

ノンノット
※出典
クレオパトラの夢

前後を逆にして、通常のシャツの裏側に隠れた部分を外側に向けているような結ぶ目になります。

結ぶ際のポイントは、結び後にできる2つの三角形をきれいに見えるように調整することと、強く締めすぎないことです。

オールマイティなプレーンノット


ネクタイには、多種多様な素材と幅があります。

その中でもプレーンノットはどのような場面でも使用できる結び方であり、プレーンノットから派生した多くの結び方もプレーンノットという型にはまった中で個性を出していけるものになっています。

このプレーンノットという結び方をマスターして普段着の幅を広げたり、冠婚葬祭やビジネス現場できっちりした印象を与えてみてはいかがでしょう。