裏地って何のためにあるの?



裏地には、主に3つの目的があります。

1つ目は、着心地を良くするためです。

表の生地は、ファッション性を重視する傾向にあり、着心地をそれほど意識していません。それに対して裏地は、着脱がスムーズにできるよう、機能面に力を入れています。
特に、スベりをよくする効果があり、ストレスなくスーツを着ることができます。

2つ目は、表の生地を保護するためです。

裏地がないと、着脱する際の摩擦によって生地に負担がかかります。
また汗や皮脂といった汚れが、ダイレクトに表の生地に伝わってしまいます。

こういった生地の負担が蓄積すると、スーツは傷みやすくなり、本来の美しさを失います。

つまり裏地は、スーツを長くきれいに使用するためには、欠かせないポイントとなるのです。

そして3つ目は、シルエットを美しく見せるためです。

裏地があることで、スーツ全体のスベりがよくなり、身体にフィットします。

無駄なひっかかりがないため、自然な美しいシルエットとなるのです。

ジャケットの裏地!背抜きと総裏地の違いって何?


背抜きと総裏地は、裏地をつける範囲が異なります。

背抜きは、背中から腰にかけての裏地がありません。
背抜きのメリットとしては、通気性に優れている点が挙げられます。

特に夏場の暑い時期などは、背抜きタイプのスーツが人気となっています。

ただし表の生地が薄いと、下に着ているシャツが透けて見えることがあります。

また背中は汗をかきやすい部分でもあるため、汗が直接表の生地に触れてしまい、スーツを傷める可能性もあります。

一方の総裏地は、全面に裏地がつけられます。

総裏地は、厚手の生地となるため、秋や冬用のスーツに適しています。
またスーツ全体を裏地でカバーすることにより、汗などの汚れから表の生地を守ることも可能です。

さらに裏地はスベりを良くする効果もあるため、気持ちよく着こなすことができ、後ろ姿のシルエットも美しく見せられます。

また裏地をおしゃれに見せたい場合には、背中からもチラッと裏地が見える、総裏地の方が適しています。

ポリエステルにキュプラにレーヨン! オーダースーツの裏地は何選ぶ?




オーダースーツの裏地には、大きく3つの種類があります。

それはポリエステル、キュプラ、レーヨンです。

ポリエステルは合成繊維で、キュプラとレーヨンは再生繊維となっています。

ポリエステルのメリットは、何といっても、その耐久力です。

定期的なメンテナンスを必要とせず、スベりの良い状態を保ちます。

ただし、吸湿性が低く、独特の肌触りとなっていることから、着心地が悪いと感じる人もいるようです。

よって着心地の面では、再生繊維であるキュプラやレーヨンが優れています。

キュプラは植物繊維を、レーヨンはコットンを溶かして作ったものです。

再生繊維は薄くて軽く、静電気も発生しづらいことに加えて、発色もきれいです。

裏地の色にこだわりたい場合は、キュプラやレーヨンがおすすめです。

バイピングや裏地にカラーを取り入れてもおしゃれ


バイピングとは、縫い代を包む処理のことで、ほつれをなくす効果があります。

またバイピングにカラーを取り入れることで、ワンランク上のおしゃれな仕上がりとなります。

例えばダーク系のスーツに、ブラウンやグレーなどのカラーを入れると、さりげないアクセントが光るスーツとなります。

またあえてボルドーやネイビーなどの明るめのバイピングにすると、個性的なスーツとなることでしょう。

バイピングは、スーツの表に見える部分となるため、なかなかカラーに挑戦しづらいという人には、裏地にカラーを取り入れることがおすすめです。

裏地は基本的には見えないため、オフィシャルな場でも問題なく着用することができます。

裏地でおしゃれを楽しめるのも、オーダースーツの魅力の一つです。

表の生地はダークな色が多いスーツですが、裏地は鮮やかな赤や上品なシルバーをはじめ、パープル、ピンク、グリーンなどさまざまな色から選べます。

表の生地との色のバランスを考え、コントラストがきれいにみえるカラーを選ぶと良いでしょう。

合わせ方のコツは、同系色を選ぶ方法と補色を選ぶ方法があります。

同系色の場合、紺のスーツには水色やグレーが王道の合わせ方です。

それに対して補色は、紺のスーツに赤色やオレンジを合わせることで、おしゃれ度の高い仕上がりとなります。

オーダースーツの魅力とは


オーダースーツは、決して安い買い物ではありません。
けれどもその価格に見合うだけの価値があります。

自分のこだわりや好みを盛り込んだスーツは、お気に入りの一着となることでしょう。

また身体にフィットする着心地の良さは、スーツを着る楽しさへとつながるはずです。