フラワーホールは、そのまま何もつけずにスーツを着ることもありますが、社章をつけたり、アクセサリーをつけたりと多用な使い方ができる穴で、胸元のおしゃれを演出するアクセントにも活用ができます。

フラワーホールの由来


フラワーホールは、スーツの長い歴史とともに、用途が変化していったディティールのひとつです。

歴史的な流れを知ることで、スーツを着こなすこだわりにも深みが増します。

それでは、フラワーホールの由来を紐解いていきましょう。

フラワーホールは第一ボタンのボタン穴だった


フラワーホールは、名前の通り、「花を挿すための穴」という意味ですが、始めから花を挿すために生まれたものではありませんでした。

スーツは、もともと軍服をルーツにしているのですが、当時は、風を避けるために襟を立てて着ていました。

その時に、第一ボタンのボタン穴として使われていたのが、今のフラワーホールです。

時代とともにスーツは変化していき、襟を開いて着るようになったことで、第一ボタンのボタン穴だけが残ったといわれています。

エドワード皇太子が花を挿したのが始まり


フラワーホールと呼ばれるようになったのは、イギリスのエドワード皇太子が花を挿したことで、そのファッションが流行し定着したことがきっかけとされています。

現代では、普段の着こなしで本物の花を挿すのは難しいですが、【ブートニエール】と呼ばれる、飾り花をつけるファッションは今でも流行しています。

ブートニエールは、フランス語で【ボタン穴】と言う意味ですが、フラワーホールにつける飾り花も、ブートニエールと呼ばれています。

ブートニエールは、スーツにアクセントをつけたい時にぴったりのアイテムで、フォーマルなアイテムでありながら、カジュアルさも演出できます。

花のモチーフが女性にも人気なので、デートで親しみを出したい時にもおすすめです。

プロポーズにも使えるフラワーホール


ヨーロッパでは、男性がプロポーズをした時に、渡した花束から一輪をとって、フラワーホールに挿してもらえると、承諾の証という習わしがあったそうです。

結婚式で新郎がフラワーホールに花を挿しているのは、この習わしから来ていると言われています。

ラペルの裏を見ると、フラワーホールの下に糸が通っていることがありますが、これは【チーループ】(フラワーループ)といい、花の茎を留めるためにつけられたものです。

チーループ(フラワーループ)
※出典
サラリーマンのファッションを考える

本物の花を挿す以外では、活用することがないため、今ではあまり必要のないものです。

しかしながら、スーツの歴史を感じる細かなディテールですので、エッセンスを知ることで着こなしの楽しみも広がることでしょう。

現代におけるフラワーホールの役割


前項では由来についてご説明しましたが、現代でもフラワーホールは、いろいろな役割を持っています。

この項目では、実用的な部分と、おしゃれにスーツを着こなすための使用方法の両方をご紹介します。

社章やバッジをつける



フラワーホールは、花を挿すよりも、社章などバッジを留める場所として活躍することが多くなっています。

穴の大きさも切り込みが小さく、バッジが固定しやすいフラワーホールになっているスーツもあります。

バッジは、針で留めるタイプもありますが、ネジタイプは、フラワーホールに穴が空いていないとつけられません。

スーツによっては、フラワーホールに穴が空いていないものもあるので、ネジタイプのバッジをつけたい場合にはチェックしておきましょう。

アクセサリーをつける




社章などのバッジのほかにも、アクセサリーとして、ラペルピンやブートニエールをつける役割があります。

地味になりがちなスーツ姿が華やかになるため、結婚式やパーティーなどフォーマルシーンにもおすすめです。

ラペルピンは、安全ピンのようにピンを通してつけるタイプや、チェーンが付いているタイプなどさまざまあり、スーツスタイルに合わせてコーディネートができます。

ポケットチーフと合わせて統一感を出すのもおすすめです。

フラワーホール自体がワンポイント


フラワーホールは、胸元の目立つ部分にあり、その形や縫製によって、スーツの表情に影響を与えるため、ワンポイントとしてこだわりたい場所でもあります。

機械縫いが一般的になっているフラワーホールですが、手縫いのフラワーホールは丁寧に仕立てた美しさがあって人気です。

アクセサリーをつけていない時でも、フラワーホール自体がスーツの魅力をアップしてくれるので、上質な着こなしを目指したい人は、フラワーホールの仕立てにこだわってみましょう。

フラワーホールで胸元をおしゃれに


フラワーホールの見せ方によって、もっとバリエーション豊富に胸元のおしゃれを楽しむことが可能です。

続いて、オーダースーツならではのフラワーホールのアレンジをご紹介します。

色糸でコーディネートのアクセントに


オーダースーツでは、オプションとして、フラワーホールのかがり糸の色を変えられることがあります。

フラワーホールは、表生地と同色で縫われているのが一般的ですが、糸の色を変えることで、スーツのアクセントになります。

フラワーホール
※出典
deffert

スーツの裏生地と色を合わせたり、ポイントになる色にしたりと、ほどよく個性を出したい時にこだわってみましょう。

袖口のボタンホールも同じように色を変えると、統一感がありながら、遊び心のある着こなしになります。

是非自分らしい色でフラワーホールを彩ってみましょう。

フラワーホールを2つ作る


フラワーホールに個性を出すなら、縦に2つ並べたり、両側のラペルにつけるといったカスタムもおすすめです。

フラワーホール2つ
※出典
TANGOYA

両側にフラワーホール
※出典
BOSTON嫁のつぶやきBLOG

ダブルスーツでは、両側のラペルにフラワーホールがついていることがありますが、シングルスーツでは珍しいため、人の目を引くスーツになることでしょう。

おしゃれに着こなすために、こだわりのあるアレンジをしてみるのも、オーダースーツならではの楽しみです。

自分らしくフラワーホールのおしゃれを楽しもう


スーツの中でも、もっとも細かいディティールのひとつがフラワーホールです。

また、これまでのスーツの歴史やおしゃれの広がりを感じることができるのも、フラワーホールの魅力です。

社章などバッジをつける実用的な使い方だけでなく、ラペルピンをつけて華やかなコーディネートにしてみたり、フラワーホール自体を自分らしくアレンジして、胸元のおしゃれにこだわってみてください。

スーツの魅力を引き出すことで、あなた自身の個性を発揮しましょう。