カーディガンのようなジャケット?!アンコン仕立てとは


アンコンとは正式名称をアンコンストラクティッドと言い、日本語で非構築的という意味です。

その言葉の通り、アンコン仕立てのスーツには裏地、芯地、パッドといった背広には必須とされるパーツを極力使用しないようにしています。

そのため、布地が体を沿うソフトなタッチに仕上がっており、ビジネススーツ特有の堅苦しさがありません。

軽いジャケットの着心地を評する場合、俗に、「カーディガンのような」と言いますが、アンコン仕立てのスーツはまさにこの言葉を体現している存在です。

しかし、非構築なスーツにしただけでは、ビジネスにはふさわしくないカジュアルな服になってしまうだけです。

その点、優れたアンコンスーツはしっかりと肩が入っているように見え、外見は立派なビジネスーツの形態をしています。

しかし、それを実際に身につけるとスーツとは思えない軽さに誰しもが驚くでしょう。

その2面性こそがアンコンャケットの魅力なのです。その本場はイタリアですが、いまや世界的な人気へと拡大しています。

体にフィットするナチュラルな着心地




アンコンジャケットの最大の魅力はなんといってもその着心地です。

英国製のような従来のビジネススーツはがっちりと作られており、特に肩のあたりは独特の重みを感じます。

それがある意味、伝統的なスーツの魅力でもあるのですが、着なれていない人にとっては肩がこって着心地が悪いと感じてしまいます。

ところが、アンコン仕立てのスーツは、外見はちゃんと肩の形が作られているのに、着てみると実に軽く、長時間着ていても疲れません。

しかも、肩パッドや芯地のような副素材をほとんど使用せずに仕立てているので肩の上のふんわりとしたフィットする感触が実に心地よく感じられます。

また、アンコンジャケットは裏地部分が全くないため、風通しが非常によくて夏でも快適な着心地が維持できます。
特に湿度の高い日本の夏にはぴったりのスーツだと言えるでしょう。

一方、真冬の防寒性という意味ではいささか心もとないですが、その分、コートを上から羽織ってもかさばらず、まるでシャツの上に直接コートを載せているような軽さで、その上、他人の目からもすっきり見えるというメリットがあります。

持ち運びにも便利!出張のお供にも


アンコンジャケットはさまざまなシーンで着用可能ですが、特に出張の際におすすめです。

軽い着心地なのでずっと身につけていても疲れを感じませんし、暑い日には小さく折り畳んで持ち歩けます。

しかも、長距離を移動する際も軽くてかさばらないので持ち運びに便利です。

また、寒い時は中にカーディガンを着込むか上からコートを羽織れば季節に関係なく使用できます。

ちなみに、長期出張になる場合は、アンコン仕立てに加えて強撚糸(きょうねんし)の生地を用いたジャケットがおすすめです。

強撚糸の生地はなかなかシワになりませんし、独自のドライなタッチと肌離れの良さが清涼感を生みます。

フォーマルでありながらカジュアル、柔らかいスタイルでありながら気取りがない、そんな幅広い場面で対応可能なアンコンジャケットなら、初めて訪れる出張先でもTPOに合わせた着こなしが可能です。

出張のお供にぜひアンコン仕立てのスーツをひとつ用意してみてはいかがでしょうか?
きっとあなたのお役に立ってくれるはずです。

アンコン仕立てジャケットの取り扱い注意点とは?




以上のように、非常に魅力的なアンコンジャケットですが、注意しなければならない点もいくつかあります。

まず、アンコン仕立ては通常、スーツの裏地がなく、内側を表地で作るので見た目は非常にゴージャスです。

しかし、その反面、綿やリネンなどの堅い素材の場合、内側までゴワゴワしてしまい、かえって着心地が悪くなってしまいますので、事前にジャケットの素材をよく確認することが大切です。

また、肩パッドや芯地がないのでサイズが合っていないと体型がそのまま表面を圧迫し、その結果、胸や脇にシワが出てしまうことになります。

そのため、アンコン仕立てのスーツを選ぶ際には、できれば細かいところまでサイズを調整できるオーダースーツを選択したいところです。

さらに、アンコンジャケットは副資材が用いられてない分、どうしても型崩れが起こりやすくなります。

したがって、クリーニングに出す時は、なるべく腕がよくて実績のある店を選ぶようにしましょう。

従来の背広のイメージを覆すアンコン仕立てのジャケット


アンコンジャケットは、従来の窮屈な背広のイメージを一新するものとして高い人気を誇っています。

今まで身につけたことがない方は、まず一度袖を通してその着心地の良さを実感してみてください。

従来の背広にはなかった解放的な味わいが理解できるはずです。