1.ジャケットよりも短いスラックスの寿命… 股ずれは大敵!


「格好いいセットアップスーツをオーダーしたのに、スラックスの方が先に傷んで着用できなくなってしまった」という経験をお持ちの方は意外に多いです。

上半身と比べると、生活を送る上で動きの多い下半身に接するスラックスは、ジャケットよりもダメージが蓄積されやすいことも特徴です。

また、スーツに使用される生地は薄く、繊細な風合いを持つものも多いため、傷んでしまいやすいこともあります。

スラックスにかかるダメージによって起こりやすいトラブルの一つとして挙げられるのが「股ずれ」です。

股ずれとは、股部分の内側が摩擦によって傷んでしまうことを指します。

立ったり、座ったり、歩いたりなど、日常生活に欠かすことのできない動作を行う中で、知らず知らずのうちに起こってしまう股ずれは、スラックスが破けてしまう大きな原因の一つです。

股ずれによるスーツ生地の傷みから、蓄積した摩擦ダメージによって、スラックスに穴が開いてしまうと、元の状態の生地に戻すことは難しいです。

既製品のスーツの中には、スラックスダメージを軽減するために、1着のジャケットに対し、パンツが2本ついている商品なども存在します。

2.スラックスを長持ちさせる魔法のアイテムシックって何?




スラックスへの摩擦ダメージを軽減させるために、使用される内布のことを「シック」と呼びます。

シックは、スラックスの中でも特に摩擦ダメージの影響が大きい、股部分の内側に当てられます。

シックを使用することによって、スーツの内側部分にある裏地や、スーツに使用されている生地へのダメージを軽減することができます。

また、スーツの色合いや生地感によっては、アンダーウェアが透けてしまうこともあり、防止策としてシックが使用されることもあります。

オーダースーツによってセットアップスーツを仕立てる場合は、標準仕様になっていることも多いシックですが、ショップによってはカスタム注文しなければ付けてもらえないこともあります。

オーダースーツに使用される生地に、繊細な風合いのものを選んだり、スーツを着用した状態での運動量が多かったりする方は、スラックスにシックがついているのか、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

シックは、スーパーや裁縫店でも手軽に入手でき、自分で付けることも可能ですが、付け方によってはすぐ外れてしまうことも考えられます。
カスタムでシックを付けることができる場合は、オーダーしておくと安心です。

3.前シックと後ろシック!違いって何?


シックには「前シック」と呼ばれるものと、「後ろシック」と呼ばれるものが存在します。股ずれ防止のために使用されるシックですが、付ける場所や大きさによって種類が異なります。

前シックは、股の内側部分に付けられ、股部分の穴あきや破れを防止するために付けられます。

一方、後ろシックは、別名「尻シック」とも呼ばれており、股部分よりもさらに後方、お尻部分の破けや摩擦ダメージを防止するものになります。
後ろシックの中には、サイズが大きく、補強効果の高いものも存在します。

スーツは摩擦ダメージによって、生地が薄くなってしまうこともあるため、大判タイプの後ろシックは、アンダーウェアが透けてしまうことを防止する効果も高いです。

もともと透けやすい、ライトグレーやライトベージュなどのスラックスには後ろシックを付けておくことがおすすめです。

オーダースーツショップの中には、通常のシックが標準仕様になっていても、大判タイプのシックに変えることによって料金が高くなってしまう場合もあります。

4.自転車通勤に営業回り…シックはこんな人に必要




オーダースーツを仕立てる際、シックが標準仕様に入っていないと、付けた方が良いのか迷うという方も多くいます。

仕事中に歩くことが多かったり、会社まで自転車通勤をしていたりする方のスラックスは、摩擦ダメージが大きいと言えます。

また、スーツに使用されている生地の中には、水に濡れた状態での摩擦ダメージに対し、極端に弱いものも多く存在します。

屋外に出る機会も多い営業の仕事を行う方のスラックスは、雨の影響と、歩くことによって起こる摩擦ダメージの影響を受けやすいです。

特性上、丈夫ではないものを選んでいる、またはスーツを着た状態で動き回ることが多い方は、シックを付けるようにしましょう。

また、太ももやお尻部分のサイズが大きめな方も、スラックスにかかる摩擦ダメージが大きくなりやすいです。

スラックスの破けや傷みを未然に防ぐために、シックを付けておくことがおすすめです。

お気に入りのセットアップスーツを長く着用し続けるためにも、股ずれ対策はきちんと行っておきたいところです。

5.スラックスの寿命はセットアップスーツの寿命


スラックスの内側から、格好いいスーツスタイルを守るシックは、セットアップスーツの寿命を左右する重要な存在です。

こだわり抜いたセットアップのオーダースーツを長く着用し続けるためにも、シックを使用し、スラックスへのダメージ対策は十分に行っておくようにしましょう。