- 1.スーツの顔でもあるラペル
- 2.ラペルの定番デザイン
- 2-1 ノッチドラペル
- 2-2 ピークドラペル
- 2-3 セミピークドラペル
- 3.スーツに合わせて選ぶラペルの幅
- 4.こんなラペルが理想的
- 5.こうして選ぶ!ラペルとネクタイの関係性
- 6.シンプルなだけにバランスは大切
1.スーツの顔でもあるラペル
スーツジャケットのシルエットは、いくつかのポイントによって異なります。
基本的には、肩の部分が自然に体に沿っているか、あるいはコンパクトな肩幅でシャープなスタイルになっているか、肩先に張りがあるかなどで異なってきます。
他にも、ウエストの絞り込みがないもの、高めの位置で絞って脚長効果を出しているもの、腰の高さでぴったり絞っているものなどがあり、これらの組み合わせで着用した時のフィット感や全体的なスタイルの印象が変わってきます。
どのようなシルエットが自分に似合うのかは、体型や年齢、職業、その人の性格などによっても異なります。
その中でラペルは、シルエットと並んでスーツの印象を左右する重要なポイントです。
ジャケットの上襟をカラーというのに対し、下襟をラペルと呼んでおり、形や幅、刻みの角度などによってスーツ全体の雰囲気を変えるため、スーツの顔ともいわれています。
ラペルは基本的な種類は決まっているものの、幅や微妙な形状は流行に大きく左右されます。
また、高級なスーツかどうかも判断できるか所ですので、スーツ選びの時には特に注意したいポイントです。
2.ラペルの定番デザイン
ラペルには、大きく分けて3つの種類があります。
2-1 ノッチドラペル
ビジネスシーンからフォーマルまで幅広い場面で使われているノッチドラペルは、「V字型の刻み」という意味です。
※出典
オーダースーツ Pitty Savile Row
カラーとラペルの縫い合わせ部分がまっすぐで、襟部分の刻みがひし型になっています。
シングルスーツの定番スタイルとなっており、最も見慣れているスタイルです。
ノッチドラペルの派生形として、やや上向きに角度がついており、上襟と下襟の開きが狭いセミノッチドラペル(フィッシュマウス)やノッチドラペルのスタイルで第一ボタンのボタンホールがデザインとして折れ曲がっているローリングダウン(段返り)ラペルなどがあります。
2-2 ピークドラペル
一方、ラペル部分が縫い合わせから先端に向けて上向きになっており、カラーとラペル先端が平行な角度になっているものをピークドラペルといいます。
※出典
オーダースーツ Pitty Savile Row
こちらはフォーマルスーツやダブルスーツに使われることが多く、ビジネススーツではほとんど見られません。
2-3 セミピークドラペル
セミピークドラペルは、ピークドラペルの下襟の角度をやや水平にカットしたスタイルです。
※出典
オーダースーツ Pitty Savile Row
少し優しい印象になり、フォーマルでもビジネスでも使えます。
3.スーツに合わせて選ぶラペルの幅
ラペルはデザインだけでなく、幅が変わるだけでも印象がかなり変化します。
標準的なラペルの幅は7.5~8.5cmで、レギュラーラペルといわれています。
一方、細めのラペルは5~7cm幅でナローラペルといい、太めになると9~10cm程度の幅でワイドラペルと呼びます。
ラペルの幅は、流行によって主流となるタイプが変わってきます。
近年では細身の男性が多いこともあり、ナローラペルの人気が高いですが、将来的に幅が太いものが主流になると、現在のスーツは流行遅れに見える可能性も考えなければなりません。
もっとも、体型や仕事に合わせてラペルを選ぶことも大切です。
大柄な人はワイドラペルが、細身の人はナローラペルが合いやすいですが、身長や筋肉のつき方などによっても印象が変わる上、仕事の内容によってもふさわしいデザインが変わってきます。
一般的には、公務員や管理職、美術館や博物館の勤務などのクラシックな雰囲気をアピールしたいときにはワイドラペルがふさわしく、デザイン系やアパレル系、クリエイティブ系の仕事をする人はモード系の印象が強いナローラペルが向いています。
4.こんなラペルが理想的
ラペルはスーツのデザインの一部であるとしか考えていない人もいますが、実際にはもっと重要な役割があります。
それが、高級感のあるスーツに見られるVゾーンのロールです。
元々、カジュアルダウンしたジャケットが流通する以前には、襟の内側に新聞紙やタオルなどを挟み、丸みのある襟周りをキープするというのがスーツの保管方法の常識でした。
つまり、スーツはラペルの見た目によって印象が全く異なっているのです。
近年ではシャツジャケットや夏場に簡単に羽織ることができる綿麻のジャケットが出回っており、立体感をキープする必要がほとんどありません。
とはいえ、やはりきちんとしたフォーマルスーツやビジネススーツでは、襟周りの部分はしっかりとロールして、立体感を保っておきたいものです。
高級なスーツでは、接着芯ではなく手間のかかる毛芯を用いており、ジャケットの顔ともいえるラペルの部分が綺麗にロールしています。
ラペルが綺麗にロールしているかどうかは高級品かどうかを見分けるポイントともなりますので、自分でスーツを購入するときも、立体感のあるラペルになっているものを選びましょう。
5.こうして選ぶ!ラペルとネクタイの関係性
自分に合ったラペルを見つけても、ネクタイとのバランスが悪ければ全体的に野暮ったい印象になります。
原則として、ネクタイの大剣の幅はジャケットのラペルの幅と揃えましょう。
V字型になるラペルのラインと、三角形になるネクタイの結びめから大剣に向けた角度がそろうことにより、端正な印象を与えます。
逆に言えば、ネクタイを選ぶときには、手持ちのジャケットのラペルの幅と色に合わせて購入するのがお勧めです。
あらかじめジャケットに合わせたものを用意しておくことで、毎日の組み合わせで悩む必要がなくなります。
ラペルの幅が異なるジャケットはそれぞれ分類しておいて、そのサイズに似合うネクタイを取り分けておくと、バランスの良い組み合わせの中でカラーコーディネートに頭を使えます。
なお、ジャケットを着ずにシャツだけの場合には、シャツの襟の長さや開き方を基準にして選びます。
この時にはラペルの時ほど厳密にサイズを揃える必要はありません。
手持ちのネクタイの内、開き方が広いシャツには幅広のネクタイが、狭いシャツには細めのネクタイが似合うということです。
6.シンプルなだけにバランスは大切
このように、単なる飾りのように思われがちなラペルは、スーツスタイルの全体的なバランスやスーツ自体の高級感、着用している人の印象など様々な面で影響を与えています。
自分の体形やTPOに応じたものを選びましょう。