ディレクターズスーツとは




ディレクターズスーツというのは欧米では重役の執務服であり、ブラックの背広にコールズボンと呼ばれる折り返しのないブラックとグレーの縦縞のズボンを合わせた服装です。

男性のフォーマルウェアの中で、ブラックスーツやダークスーツは略礼装とされていますが、ディレクターズスーツは準礼装、いわゆるセミフォーマルとして略礼装よりも格上に位置しています。

ただし、昼間の正礼装であるモーニングよりは格下ですので、着用するときにはTPOをわきまえておくようにしましょう。

ディレクターズスーツでは、上着は黒のシングルブレスト、またはダブルブレストの背広型ジャケットで、生地はカシミアやウールなどです。

ズボンもウールなどの生地で専用の柄が入っているものを選び、ベストは襟の有無は問われませんが、ブラック、あるいはグレーやクリーム色になります。

明るい色のネクタイを合わせ、白の麻やシルクのポケットチーフをスリーピークスで挿し、パールやシェル素材のホワイト系のカフスボタン、革製でブラックの穴飾りのないストレートチップ、もしくはプレーントゥの靴を着用します。

どんな時に着用するの?ディレクターズスーツを着るシーン


結婚式
ディレクターズスーツは準礼装ですので、着用するシーンとしてはやはり結婚式が真っ先に浮かびます。

ただし、友人や知人として参列するときにはダークスーツやブラックスーツを着用するのが基本で、ディレクターズスーツは新郎新婦の両親や親族、仲人などが着用します。

結婚式の格式にもよりますが、親族や仲人は新郎新婦と格を合わせるため、新郎がモーニングのときはモーニングを、ディレクターズスーツのときにはディレクターズスーツを着用します。

両家の両親は格式を合わせる必要があり、事前の協議が不可欠です。

また、式典やパーティーに出席するときも、本来はディレクターズスーツが昼間の準礼装ですし、格の高い葬儀においてもブラックスーツよりこちらを選ぶ方が適切です。

とはいえ、日本ではブラックスーツの小物だけを変えて慶弔双方に礼装として出席する風潮が主流ということもあり、黒一色の服装になりがちな葬儀の場面においては、マナーとして問題がなくても居心地が悪い思いをすることがあります。

どちらかというとおめでたい席での着用がメインと考えておいたほうが良いでしょう。

購入?レンタル?ディレクターズスーツの利用頻度


スーツのレンタル

ディレクターズスーツは結婚式でしか着用する予定がないという人の場合には、購入よりもレンタルの方が便利です。

レンタルショップでは、普段あまり利用する機会のないポケットチーフなどの小物もそろっていますので、サイズがぴったりできちんとした素材のものを選べば場にふさわしい服装となるでしょう。

近くに実店舗がないという場合にも、ネットで注文して宅配便で届けてもらえるサービスがありますので便利です。

ただ、仕事柄会社のパーティーや式典などに参加する機会が多い人は、ディレクターズスーツを一通りそろえておくことをおすすめします。

特に管理職になるとブラックスーツでは貧相に見えることがありますし、海外の人をもてなすときにも失礼に当たります。

ディレクターズスーツとしてセットで販売されているものもありますが、パンツやベストなどの不足しているものを買い足すだけでも十分ですので、それほど費用面での負担も大きくありません。

シルバーやホワイトのネクタイは結婚式などで使う機会も多いものですし、ベストもあると便利なアイテムですので、バランスの良いコーディネートで気に入ったものを探してみるとよいでしょう。

レンタルショップなどの参考はこちらのコラム等からもご覧いただけます。

コラム:メンズパーティースーツの着こなしと人気のブランド、オススメレンタル店

マナーを守って洗練された着こなしを


マナーを守る
ディレクターズスーツは昼間のモーニングに次ぐ礼装ですので、下手なアレンジは加えずにきちんとマナーを守った着こなしをするのが最適です。

ジャケットはシングル・ダブルのどちらでも構いませんし、ボタンも2つのもの、3つのものそれぞれあります。

日本ではブラックが主流ですが、ダークグレーや濃紺もおすすめです。

ピークドラペル、ノッチドラペルのいずれでも問題ありません。

スラックスは明るめのグレーでブラックのストライプが入ります。

裾はシングルと決まっており、見た目が似たようなズボンではなくきちんとディレクターズスーツ用のものを購入するのが望ましいです。

シャツは白無地で、レギュラー、または前身頃にひだのないウイングカラーで、基本的にはダブルカフスになります。

ベストはジャケットと同じ生地のものでもよいですし、グレーやオフホワイトを組み合わせても構いません。

ジャケットとは異なる生地のときはウールやシルク素材を選びます。

ネクタイはシルバーグレーか白黒の縞の結び下げ、あるいはアスコットタイです。

これに白の手袋やカフスボタン、ポケットチーフ、サスペンダーなどを必要に応じて合わせます。

ブラックスーツも流用可能




ディレクターズスーツはセットで販売もされていますが、決まりごとを守っているブラックスーツがあれば、ベストやコールパンツを買い足すだけでOKです。

こうしておくと、気軽なパーティーや葬儀ではブラックスーツとして使用して、式典や結婚式の主賓として出席するときにはディレクターズスーツにすることができて便利です。

スーツはどちらかというとスラックスがすぐ傷んでしまいますので、ジャケットを共用しておくと長く使うことができます。

あると便利なディレクターズスーツ


このように、ディレクターズスーツは一見着用機会が少ないように見えますが、格上の礼装として割と重宝します。

日本は海外ほどドレスコードが厳しくないとはいえ、一枚持っておくといろいろなシーンで活躍するでしょう。