今回の依頼人である山中さん、22歳。

オーダーテーマは、新社会人にふさわしい清潔感と個性を兼ね備えた一着。

訪れたオーダースーツ店「BLESS Stella(ブレス ステッラ)」(東京・銀座)で、店長の大東 陽さんと会話し、どのようなスーツを作っていくかを決めていく。



オーダースーツを作る際、最初に決めるのが生地だ。

山中「社会人一年目ですし、少し固い会社でもあるので、生地はあまり派手にならない方がいいのかなと思っています」



そんな山中さんに大東店長がオススメしたのが、少し明るめなネイビーのピンストライプの生地。

派手さを控えたいのであれば、無地がベターだが、どういったことだろうか。

大東「明るい紺のストライプは、いわゆる定番。少し派手に思うかもしれませんが、フレッシュなイメージも出ますし、若い今だからこそ着られる一着が作れると思いますよ。」



ストライプは間隔が細くなるとエレガントに、広くなればパワフルな印象を与える。

スーツは生地全体が人の目に入る範囲が広いため、柄による印象変化も大きい。

ビジネスシーンで着用するならば、色柄はもちろん幅にも気を配りたい。



生地を決めたあとは、各パーツを決めていく。

大東「ボタンや裏地など、生地と色を変えると、よりオーダーっぽさが出ますよ。」

せっかくオーダースーツを作るのだから、その価値をより高めたくなった山中さん。

山中「何を合わせていくといいんでしょうか?」

ボタン、裏地といった色、柄、形を選ぶパーツでは、新社会人らしさを担保しながら、好相性な組み合わせをアドバイス。



パンツやポケットといったディティールは、ビジネススーツのセオリーを教えることで、スムーズな決定ができるように誘導を図る。

これはビギナーが悩まないための大東さんの接客術だ。

その後、一般的なオーダースーツで決める内容の半分ほどまで進んだところで、採寸をすることになった。



ラペルステッチ、タックなど、決めなければならないことはまだまだあるのだが、初心者の場合は実物を見ないと、むしろ見たとしても判断できないことも多い。

そこで、採寸をして、仕立て見本のスーツを着たあとに、細かい好みを調整していくという進め方だ。



大東「細身ですが、けっこう肩幅がありますね。この肩幅に合わせて既製品のスーツを着ると、逆三角形に見え過ぎるようになっていたんじゃないですか?」

既製品は体のどこかにサイズを合わせると、必ずどこかがずれてくる。

また、若い人ほど細身のスーツを好む傾向があり、突っ張っているのをぴったりフィットしていることと勘違いしていることが多いそう。



山中「着丈、もう少し短くてもいい気がするんですが…」

大東「着丈の±5mmは見た目を大きく変化させます。1cmも変えれば別物。これまで本来より小さなサイズを着ていたから長く感じるかもしれませんが、これがベストですよ」

見本のスーツを着て、改めて全てのセレクト内容を確認していく。

採寸を終え、ディティールを決めれば、あとは出来上がりを待つだけだ。



新社会人が着たくなる一着、いったいどのような仕立てになるのか。

次回、その仕上がりに迫る!