今回の依頼人は、山中さん、22歳。
この春から就職するという新社会人だ。

そんな山中さん、迫りくる初出社日を前にはっと気付いた。
そういえば仕事着としてのスーツとは、どんなものを着ればいいのだろうか、と。
新入社員ならば派手すぎず、清潔感があればいいというのがセオリー。
ただ、できればもう一歩攻めた一着を着ていきたいとも思っている。
いわば両極端のこの希望は、はたして叶えることはできるのだろうか。

訪れたのは、東京・銀座にある「BLESS Stella(ブレス ステッラ)」。
大通りから少し入ったところにあるビルの上階に店を構えるオーダースーツ専門店だ。
同じく銀座に店を構える「BLESS 銀座」の姉妹店で、BLESS 銀座が大人向けとするならば、ステッラは20~40代に向けた入門編ともいえる。
しかしビギナー向けとはいえ、あなどってはいけない。
そこは10年以上、銀座で紳士たちのファッションを支えてきた技術とスタイリングを、余すことなく提供してくれる。
店内に入ると、店長の大東 陽さんが迎えてくれた。

早速、山中さんが欲しいスーツについてヒアリングを始める。
これから初出勤を迎える山中さんは、何を基準にスーツを選べばいいのか分からないというのが正直なところ。
フレッシャーズらしい清潔感を見せながら、個性も匂わせる一着が欲しいと言う。
大東「スーツに慣れていない方、初めてオーダースーツを作る方がいらっしゃることも多いですよ。安心してくださいね。」

大東さんは、そういったビギナーのために、オーダー時に余計な悩みを与えないような工夫をしている。
基本的には好みを聞きながら決めていくが、ときには一般的なセレクトをアドバイスし、ときにはプロの目線でかっこよさを説く。
それは素人からすれば、暗闇に見える灯台の光。
大東「時間をかければ、いいものができるわけではないんです。」
正解のないオーダースーツの世界では、先の見えない旅を続けるよりも、賢人の言葉に素直に耳を傾けるのが得策かもしれない。

大東「実を言うと、何百人、何千人と仕事をしてきたので、店に入ってきた瞬間に仕上がりのイメージはできているんです。そのイメージをいかにお客様の好みや体形に近づけていけるか。そのために、膝を突き合わせてお話しを伺います。」

色や柄など分かりやすい部分は好みも伝えられるだろうが、素人目には分かりにくいディティールのセレクトといったすぐに判断できない部分は、分からない、とはっきり言ってもらった方が物事の決まりも早いそう。
山中さんが求める、社会人デビューに使える一着とは、どのようなものなのか。
次回はそのオーダー方法に迫る!