- 1.見てわかるもの?礼服とビジネススーツの違い
- 2.長く使いたいならここに注意。礼服選びのポイント
- 3.ダークスーツで流用できることも
- 4.礼服よりも格上の服装について
- 5.場に合った着こなしを
- 6.礼服とスーツの使い分けこそ大人の証
1.見てわかるもの?礼服とビジネススーツの違い
礼服とビジネススーツの違いは、実は分かる人が見ればすぐにわかります。
まず、礼服の色は真黒であるのに対し、ダークスーツなどはブラックに見えてもグレーがかった、本物の黒とは異なる色合いになっています。
特に日中外でみるとその違いは歴然としており、結婚式や葬式の会場から外に出たときなどにすぐに見咎められるでしょう。
同じ礼服でも高級なものほど何度も染めているため黒の色味が深くなっており、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
使われている生地も葬式で光るものを避けるためにやや毛羽立たせており、ほとんど光沢がない状態です。
また、ビジネススーツはある程度流行に左右されますが、メンズの礼服は冠婚葬祭の場でしか着用しない代わりに何年も着続けることが多いため、年齢による体系の変化でも問題なく着られるようにややゆったりとしたシルエットがほとんどです。
年代でみると若い人はシングルの2つボタン、ある程度年齢が上の男性になるとダブルの4つボタンを好む傾向にありますが、マナーとしてはどちらも問題ありません。
デザインに奇抜さはなく、オーソドックスなラインです。
2.長く使いたいならここに注意。礼服選びのポイント
ビジネススーツの場合、体にフィットしたラインの方がすっきり見え、ある程度トレンドも取り入れたほうが好印象を与えることも多いです。
しかし、礼服の場合には普段の制服を選ぶ基準とは異なり、長く使うことができるような選び方をするのがお勧めです。
礼服を選ぶときのポイントはいくつかありますが、重要なのが黒の色がくっきりと濃いものであることです。
スーツとの違いがはっきりする黒の色合いですが、安物は染めの回数が少なかったり、色落ちする染料で染めていたりするため、日焼けや経年劣化などで色が薄くなり、黒に見えなくなることがあります。
また、新品を着用しているときでも、染め方の違いで黒の色合いは明らかに異なりますので、長く着ることを考えたら年配になっても恥ずかしくない上質なものを用意しておくのがお勧めです。
デザインも同様で、流行を意識してタイトなラインやワイドなラインを選ばず、ややゆったりした程度の自分の体にぴったりのものを選びます。
5年後、10年後にも定番のラインであれば問題なく着用できますので、長い目で選ぶのがポイントです。
3.ダークスーツで流用できることも
礼服とダークスーツは見ると違いが分かりますが、実は、フォーマルな場面でもダークスーツで流用できることがあります。
元々ブラックスーツは略礼装であり、格式としてはダークスーツとほぼ同じです。
そのため、結婚式や取り急ぎ駆けつける必要がある通夜、パーティーや式典などでは、ネクタイなどの小物を変えることで失礼に当たらない衣装になるのです。
ちなみに、通夜に仕事帰りに出向くときなどは、黒の靴下とネクタイを途中で調達して取り替えておきます。
以前はブラックスーツは略式の礼装といわれていましたが、現在ではほとんどのフォーマルなシーンで着用できます。
特に、葬儀のようにダークスーツがそぐわない場面では、やはり黒の礼服は一枚用意しておく必要があります。
しかし、友人の結婚式や子供の入学式・卒業式のように、黒よりもダークスーツの方がおしゃれに見えるときもあるため、礼服とは別にダークスーツでセンスの良いものを持っておいた方が使いまわしがしやすいです。
もちろん、いざという時にフォーマルシーンで着用できるように、小物類もきちんと揃えておきましょう。
4.礼服よりも格上の服装について
※出典
Amico
礼服とダークスーツがほぼ同格とはいえ、これらはいずれも略式です。
そのため、シーンによってはさらに格上の服装が必要になることがあります。
一段階上の服装は、準礼装とよび、上は礼服でボトムをコールパンツと呼ばれるグレーのストライプパンツに変えたもので、ディレクターズスーツと言います。
新郎新婦の上司や恩師などの結婚式の主賓やスピーチの担当者などが着用しますが、近年では特に差別化せずに全身ブラックの礼服にしている人も多いです。
また、時として新郎新婦の父親が着用することもあります。
一方、昼の正装で最も格式が高いのはモーニングです。
厳かな結婚式では新郎新婦の父親が着用していますが、それ以外では公式な式典を主宰するとき、園遊会の参加、大規模な葬式の喪主を務めるときなどかなり機会が限られてきます。
夕方以降の式典になると、夜の正装であるタキシードを着用します。こちらは意外と着用する機会が多く、着こなし方次第で音楽会や観劇、パーティーなどが対象です。
近年では、襟を取り外してスーツとしても使えるタイプも出回っています。
5.場に合った着こなしを
礼服を着用するときには、着るものを選ぶだけでなく小物類の組み合わせによる着こなしも重要です。
例えば、結婚式はおめでたい場面ですので、白地に柄の入ったものやシルバーグレーのような淡く明るい色で華やかさをプラスします。
チーフを加えることでさらにフォーマルな装いになりますが、この時ネクタイと色をそろえておくと統一感があります。
ダークスーツでは、グレーやネイビー、ストライプまでは着用可能で、ネクタイの色もピンクやブルーといった淡い色の選択肢が広がります。
ただし、殺生を連想するアニマル柄や革製品、おめでたさが半減する暗い色合いは避けましょう。
ベストを組み合わせてもおしゃれです。
ダークスーツの場合でも、ネクタイと色合いをそろえたチーフを胸に入れて、カフスも同系色でそろえるとよりフォーマルな装いです。
葬式は黒無地のネクタイと靴下、ブラックスーツが定番です。
不幸ごとのときにはおしゃれよりも故人への敬いの気持ちが重要になりますので、アレンジは加えません。
通夜のときにダークスーツで出向くときも、ネクタイと靴下は黒に変えておきます。
6.礼服とスーツの使い分けこそ大人の証
このように、一見同じに見えるダークスーツも、礼服とはやはり内容が全く異なります。
状況に応じた着こなしをすることこそが常識ある成人としてのマナーですので、長く使える礼服を一着用意しておき、きちんと使いこなしましょう。