今回の依頼人である奈良さん。
オーダーテーマは、プライベートでもビジネスでも使える一着。

オーダーの日から数週間後、依頼した「Sato Tailor(サトーテーラー)代々木店」(東京・代々木)から待ちわびた仕上がりの連絡があり、意気揚々と店に訪れた。

店長の森本さんが奈良さんの腕に袖を通す。



今回スーツに仕立てたのは、イタリアの老舗機織メーカー・CANONICO(カノニコ)の生地。

色はダークネイビー、ピッチ1cmのシャドーストライプがシックな雰囲気を醸し出す。

仕立てたパターンは、「ジェノバ」というモデル。

肩のラインとバストのボリューム感が程よく、着心地の快適さが特徴。

ジャケットの前身頃の胸から腰にかけては、総毛芯仕立てという仕立て方で、これによって体のラインに沿ったしなやかな着心地が実現されている。

奈良「今まで着ていたスーツとは、フィット感が違いますね。」



裏地には、オシャレ感も演出できるカラーのシルバーをチョイス。

ボタンはダークブラウンの水牛ボタン。
生地が濃色のため、ボタンに少し明るい色を取り入れた。

森本「今回、特に注力したのは肩のサイジング。奈良さんはウエストが73cmとかなり細いのに、肩幅はそこそこある。ラインが美しく出る形にしました。」

全体的に細身の奈良さん。
肩幅に合わせたうえで、ウエストを詰めていき、着心地を重視しながらも、もさっとした印象にならないシルエットを作り出した。

奈良「これまではジャケットが着づらくて疲れていたんですが、肩回りが全く気になりませんね。」



ジャケット同様、パンツも体形を生かしたシルエットになっている。

座ったときの余裕を取るために一般的にはゆとりを取るが、奈良さんの場合はヒップが小さいので、渡り幅を極限まで削っている。

ジャケットとの相性と、本人の好みを生かした仕立てになっていて、ヒップラインから足にかけてのシルエットが、立ち姿をよりシャープな印象に。



森本「スーツ自体の色と柄は抑え目にしたうえで、ウエストなど細いラインを意識してドレス感を強めました。コーディネート次第で、ビジネスでもプライベートでも着回しできるはずです。」

ビジネスで使うときは、ネクタイやチーフなどの小物はプレーン系を合わせて清潔感を。

プライベートで着用するときは、シューズにモンクストラップやチャッカブーツを合わせてドレス感をアップさせるなど、このスタイルであれば小物の合わせ方次第でいずれの用途でも使えるそう。



奈良「コーディネートのセンス次第ってことですね(笑)。努力します。」

森本「当社は元々スーツファクトリーです。老舗工場として、これまで数多くのブランドやセレクトショップのスーツを手掛けてきました。長年の仕事の中で培った技術を、広く一般の方々にも提供できる形として、当店のようなオーダースーツ専門店を運営しております。私どもは、工場の職人たちの技術を伝える営業マン。これからも、確かな技術に基づいて仕立てられる美しいスーツを、皆さまの下にお届けしたいと思います。」



同店では、昨年末からパターンオーダーシューズやオーダーベルトの受注も開始。

スーツもさることながら、確かな逸品が手に入ることは間違いないだろう。

初めてスーツを仕立てるならば、最初だからこそ老舗工場の手掛ける最高の一着を手に入れてみるというのはいかがだろうか。


今回取材にご協力いただいた、

サトーテーラー 森本さん
モデル 奈良さん

のスナップ写真も上記リンクからどうぞ!