今回のモデルは中山さん、24歳。

不動産会社に勤める営業マンなのだが、もう一歩、自分の営業力を高めたいと考えている。

そこで、「営業支援スーツ」というビジネスマン向けの一着をオーダーメイドできる「STUDIO COCOASSO(スタジオ ココアッソ)」に訪れた。

オーダースーツは、まず生地選びから始まる。


土方(以下、土)「現在、世界的には光沢のある生地が主流です。」

スタジオ ココアッソの店主・土方 洋さんが中山さんにおすすめしたのが、スーツの本場であるイタリアで5指に入る生地メーカー「CARLO BARBERA(カルロ バルベラ)」の生地。


世界一美しいとも言われる艶やかな光沢があり、時間を置けばふっくらとした着心地になる。

色と柄は、ネイビーのストライプ。
ネイビーは、誠実な印象を与えるうえ、日本人の肌質にも合いやすく、着こなしやすいのが特長だ。

土「20代前半の方なら、まず着ることがない高品質な生地です。その分、スーツを着ることに対して緊張感が出るはずなので、むしろ今の年代で作ることに意味がありますね。」

ビジネスシーンにおいて、実は、「ここぞの一着」というものを持っていても、なかなかそれを着る機会は来ないという。

高級なスーツを持っていたとしても、クローゼットの中に大事にしまっていては意味がない。
いつでも着ることができる一着と認識して使わなければならないのだ。

生地が決まれば、あとはそれに合わせて各パーツを決めていく。

裏地でいえば、基本的に表地とそろえるのがベターだが、個性を発現したいのであれば、細部でこだわるのは重要だ。

中山(以下、中)「裏地にワンポイントがあるスーツを持っているんです。購入した当時は、それに気付いてほしくて、電車の中でジャケットをひっくり返して置いてみたんですが、全く気づかれなかった(笑)。見えない部分にもこだわりたいのですが、どうすればいいですか?」


表地をネイビーにしたため、裏地は少し派手にしたいと中山さん。レッドやパープル系の生地で悩む。

土「表地との相性を考えると、レッド系なら深いエンジ色がいいのではないでしょうか。悩まれているパープルよりも、グッと大人っぽさが出ると思いますよ。」


ジャケットのボタンを選ぶ時には、

中「ツヤのありなしは好みで選べますが、色の違いがあまり区別がつかず…どれにしたらいいのか分かりません…」

土「ボタンの色は、コーディネートのときに重要になってきます。ベルトやシューズと合わせると、おしゃれな印象になりますよ。」

とアドバイスも。




ボタンの色の選定は、明るいと意欲的な印象、暗いと落ち着いた印象を与える。

この後もジャケットとパンツのディティールを決めていかなければならないのだが、注意しなければならないことがあるそう。

土「自分なりのテーマを設定していろいろと選んでいると思いますが、それにとらわれ過ぎると、逆に自分が欲しかったものから遠ざかってしまうことがあります。ポイントは押さえなければなりませんが、もっと気楽に考えた方がいいですよ。」

次に、ジャケット・パンツのディティールなどを決めて、採寸に入る。


土「肩5mmずれていますね。これはスーツの形を変えるよりも、今のうちに体を直した方がいいですね。」

テーラーは、採寸するとその人の体のつくり、普段の姿勢などがすぐに分かるそう。
自分の体型について教えてもらえるもの面白い。

土「補正はバランスを取って入れていきます。今回はスマートだけど着心地のいい一着に仕立てていきますね。“細さ”はお任せで一任してもらえると嬉しいです。」


「営業支援スーツ」という一着、いったいどのような仕立てなのか。次回は「営業力をアップできるスーツの仕上がりに迫ります!