30~40代にもなると、いいスーツを一着くらいは持っておきたくなるだろう。どうせならばオーダーメイドで自分だけのスーツを手に入れたいと思ったことがある人も少なくないはず。
しかし、「高い」「頼み方が分からない」「面倒」といったイメージで結局、購入しやすい既製品に手を伸ばしてしまう。
そんな中、実は最近、オーダースーツが気軽にかつ安価に作れるようになっているそうだ。
そこで、東京・日本橋にあるテーラー「blue. tailoring room.(ブルー.テーラリングルーム)」で、初めてのオーダーメイドスーツを作ってみた。
形とは、すなわちポリシー。肉体と同じくモノには、その人物の意識が強く投影される。
効率を重んじる人は機能性に特化したモノを、個性的な人は奇抜なモノをというように、対象の持つモノを見れば、その人物の個性や思考を判断することも難しくはない。
オーダースーツにおいて、生地選びの次に頭を悩ませるディティールの選択。
全体のスタイルから、襟、肩回りなどパーツごとにそれぞれ選択を迫られる。
ファッション好きならば自分が好きな形やスタイルというものがあるかもしれないが、普通はそこまで細かいことを考えてスーツを着ていない。
だが、オーダーするにあたって、ここにこそ自分のポリシーが備わる、いや備えなければ意味がないはずだ。
スーツは、一般的にブリティッシュ、イタリアン、アメリカンという3つのスタイルに分類される。
簡単に特徴を言うと、
ブリティッシュ=伝統、安定
イタリアン=革新、色気
アメリカン=万能、機能性
だ。
ステレオタイプだが、まさにそれぞれのお国柄を象徴していると言えるだろう。これは、着る人物の印象にすら影響を与える。
心理学の分野では、ある対象を評価するときに突出した特徴に引っ張られて、全体の印象が歪められる「ハロー効果」という現象が実証されている。
昔から「第一印象は見た目で決まる」とよく言うが、その通りなのだ。
これが分かれば、自ずと何をセレクトすればいいか容易になる。判断基準は、自分の好きな形を考えるよりも、それを着て会う人に対してどのような印象を与えたいのか。
聞くべき質問は一つだ。
「女性に好印象を与えられるのはどれか?」
私がスーツをオーダーした際に、大人の男としての安定感と、それを感じさせるバックボーンを想像させるブリティッシュスタイルに決めたのは言うまでもないだろう。